【認知症のアロマ療法】高齢者におすすめのアロマオイル(精油) - HOWAGROUP:医療 介護 福祉の豊和グループ

【認知症のアロマ療法】高齢者におすすめのアロマオイル(精油)

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高齢者アロマ効果

加齢とともに切り離すことができない認知症
世界中で5,500万人以上が認知症を患っていて、毎年1,000万人近くが新たに発症しています。
認知症は現在、すべての疾患の中で7番目に多い死因であり、認知症の人だけでなく、介護者、家族、社会全体にも、身体的、心理的、社会的、経済的な影響を及ぼし、社会問題となっています。

まず最初にはっきりと言います。

現在、認知症を治療するために利用できる治療法はありません。
これまでに開発された抗認知症薬と疾患修飾療法*は、有効性が限られています。
*薬物療法によって、病気の進行のスピードをゆっくりにしたり、止めたりする療法のこと

 

「治療法がない」「有効性が限られている」と言いましたが、現在も臨床試験のさまざまな段階で多くの新しい治療法が調査されています

老化細胞除去ワクチンの開発に成功
Nature Aging誌のオンライン版で(2021年12月10日付)公開された論文によると、
順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学の南野徹教授らの研究グループが、老化細胞除去ワクチンの開発に成功しました。今後はアルツハイマー病を含めた様々な加齢関連疾患での検証や、ヒトへの臨床応用が期待されます。

出典:「老化細胞除去ワクチンの開発に成功―アルツハイマー病などの加齢関連疾患への治療応用の可能性―」(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)(https://www.amed.go.jp/news/release_20211213.html

そこで認知症全体の70%を占める「アルツハイマー型認知症*」に有用とされている「アロマ療法**の研究結果」と「アロマオイル(精油)***の効果」についてご紹介します。
*脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症。
ゆっくりと進行する。
**身体の不調と同時に、心の疲労やストレスにも働く自然療法。フランスではアロマテラピー、イギリスではアロマセラピーと言われる。日本の法律上、明確な医療行為、治療行為ではない。
***アロマオイル(精油)=エッセンシャルオイル。天然の植物から抽出した100%天然の植物性香料のこと。

アロマ療法で認知機能が向上した研究結果

アルツハイマー型認知症はもの忘れよりも前に、まずにおいが分からなくなることがあります。
このことから、においが分からなくなる前にアロマオイル(精油)で嗅神経を刺激すれば認知症予防につながるかもしれないと、鳥取大学で臨床研究が行われました。

出典:アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性(Vol.19-1;77-85, 2005)
http://square.umin.ac.jp/~dementia/19-1-77-85.pdf

研究内容
非薬物療法としてアロマセラピーに注目し、認知症患者に28日間続ける臨床研究を行った

28日間のアロマセラピー期間中は
9時~11時にローズマリー 2滴 & レモン1滴 *

19時半~21時半にラベンダー2滴 & オレンジ1滴**の香りをディフューザーで散布。
1滴はスポイトで計量して約 0.02ml)
*ローズマリー & レモンは集中力を高め,記憶力を強化する刺激的な作用がある
**ラベンダー & オレンジは心や身体への鎮静作用がある

実験結果
アルツハイマー型認知症の患者において、全員ではないものの一部の評価指標に改善が認められ、
特に、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者の改善が見られた

昼間は集中力の向上、夜間は不安やストレスの緩和につながると期待され、昼は2時間以上、夜は就寝前に使うのがおすすめです。アロマオイル(精油)は無農薬・有機栽培で育てた植物から抽出されたものを使うとよいそうです。

研究に使われたアロマ4種の効果

ローズマリー

ローズマリー

集中力、記憶力、注意力を高めてくれるローズマリーは、はっきりとした香りで交感神経を刺激して、心を元気にしてくれます。痰の除去や免疫力向上にも役立ちます。

レモン

レモン

気分転換に効果的で、気持ちをリフレッシュさせてくれます。血糖値低下作用、解熱作用などもあると言われ、睡眠障害で弱った心やからだも元気にさせてくれます。

真正ラベンダー

ラベンダー

安眠作用・鎮静作用があるラベンダーは、ストレスや不安な気分を癒やして、心を落ち着かせてくれます。不眠や高血圧症におすすめ。足が疲れたり、頻繁につる方はラベンダーのアロマオイル(精油)を入れた足湯をするといいでしょう。

オレンジ・スイート

オレンジ・スイート

リフレッシュやリラックス効果があり、眠れない時に就寝を助けてくれるアロマオイル。胃腸のトラブルにも効果的で、食欲不振の方にもおすすめ。むくみを軽減する作用もあるので、足がむくんだ時にはオレンジ・スイートのアロマを入れた足湯をするといいでしょう。

その他人気のあるアロマ5種の効果

レモングラス

レモングラス

レモンのような爽やかな香りで、不安やストレスを癒してくれます。鎮痛・抗炎症作用、代謝・血行の促進にも有効で、肩こり・冷えやむくみにも良いとされています。集中力や記憶力を高める効果、消化促進作用も期待できます。

ペパーミント

ペパーミント

メントールのすっきり爽やかな香りでリフレッシュ。精神的な疲労を感じたときに心を落ち着かせてくれる抑うつ作用があります。風邪や気管支炎に有効で、花粉や風邪による鼻づまりの解消にも期待が出来ます。

グレープフルーツ

ピンクグレープフルーツ

柑橘系のみずみずしい爽やかな香りが、落ち込んだ気持ちを明るくリフレッシュさせてくれます。不安や緊張を和らげたい時におすすめ。血行やリンパの流れも良くなり、利尿作用があるので、むくみや冷えにも良いと言われています。

ベルガモット

ベルガモット

爽やかな柑橘系にフローラルな香りも併せ持つ上品な香り。多くの人に好まれる香りです。「天然の抗うつ剤」と言われるほど、抑うつ症に効き目があることで知られていて、落ち込んでいる時や緊張している時に心をリフレッシュさせてくれます。

カモミール

カモミール

青リンゴのように甘い、フルーティーでやさしい香り。自律神経を整え、怒りや不安を癒やして心を落ち着かせてくれます。安眠効果、鎮痛作用、消化不良にも良いと言われています。主に精油として使われるローマンカモミールと、主にハーブティーに使われるジャーマンカモミールの2種類があります。

効果的なアロマの使い方5選

アロマディフューザーを使う

ディフューザー

水にお好みのアロマオイル(精油)を数滴加え、ディフューザーにセットするだけ。空間に香りが広がります。今ではさまざまな種類のものが販売されていますので、説明書をよく読んでお使いください。

アロマスプレーで噴霧する

アロマスプレー

スプレーボトルに無水エタノール10ml、アロマオイル(精油)を入れて、軽く振って混ぜる。精製水40mlを入れてよく振ってから使用してください。基本的には精油は水に溶けないので使用直前にはよく振って、部屋やカーテンなどに使用しましょう。劣化防止のために冷暗所に保管し、1か月程度で使いきってください。

お湯に垂らして利用する

アロマお湯に

お湯を張ったボウルにアロマオイル(精油)を2~3滴たらして香りを楽しみます。簡単に使用することができ、気軽にアロマの効果を実感できるので、おすすめの使い方。

ティッシュやハンドタオルを利用する

アロマティッシュに

ティッシュやハンドタオルに数滴アロマを滴らして使います。就寝時、安眠効果のあるアロマオイル(精油)を滴らしたティッシュやハンドタオルを枕元に置く、使い方がおすすめ。

足浴・手浴で利用する

アロマ足浴

お湯を張ったバケツにアロマオイル(精油)を1、2滴入れて十分にかき混ぜます。10~15分くらい手や足をお湯につけてください。お風呂に入れない時やむくみのある時に使うのがおすすめ。人によっては過敏に反応することもあるので注意が必要です。オーガニックのものを使用しましょう。

アロマオイル使用の注意点

  • 化学合成品のアロマオイルは人体に影響を及ぼす場合があるので、オーガニックのものを選びましょう。「100% Pure & Natural」「Pure Essential Oil」などと書いてあるものを選びましょう。
  • アロマオイル(精油)によっては紫外線に強く反応して皮膚の炎症を起こすものや、皮膚に強い刺激を与えるものもあるので、アロマオイル(精油)の性質を確認してから使用してください。
  • 初めて使用する場合は、通常の使用する量の半分以下から試すのがおすすめ。皮膚の弱い方はかぶれなどの皮膚症状が出る場合がありますので、心配な場合は事前にパッチテストを行うと良いでしょう。
  • 過敏に反応したり、健康状態や体調によっては不調をもたらすこともあるため、医師の治療や投薬を受けている場合は、医師に確認してください。
  • アロマオイル(精油)の原液を飲むこと、皮膚につくこと、眼の中に入ることを避けるために、手の届かないところに置き、注意して使用しましょう。火の気のないところで使用することも大切です。
  • アロマオイル(精油)は保存状態によって成分が変化しやすいので、遮光性のガラス容器でキャップをしっかり締めて、冷暗所で保管してください。開封後は1年以内に使い切るようにしましょう。

まとめ

  • 認知症を完全に治療する方法は今のところないが、新しい治療法が調査され続けている。
  • アロマを使うと程度の差はあれどアルツハイマー認知症が改善する。
  • 朝はローズマリーとレモン、夜はラベンダーとオレンジ・スイートが認知症に良い。
  • アロマオイルは無農薬・有機栽培で育てた植物から抽出されたものを使うこと。
  • 使用にあたっては注意点をよく読み、必要があれば医師の指示のもと使用してください。

このブログをきっかけにアロマに興味を持ち、アロマを使ってみてください。
自分に無理なく、さまざまなことに取り組み、人生100年時代を心身ともに健康で過ごせますように♪

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