【高齢者のヒートショック】入浴中の事故を防止する7つの対策 - HOWAGROUP:医療 介護 福祉の豊和グループ

【高齢者のヒートショック】入浴中の事故を防止する7つの対策

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冬の寒い日は家の中でも、暖房の効いているところと効いていないところで、温度差が10℃を超えると言われています。
そんな日に気をつけなくてはいけないのが『ヒートショック』。
特に高齢者はヒートショックになりやすいと言われているので注意が必要です。
このページではヒートショックとは何か、どうすれば防げるのかをご紹介します!

ヒートショックとは

急激な温度変化で血圧が大きく上下し、失神・心筋梗塞・脳梗塞など、心臓や血管の疾患が起こることをいいます。ヒートショックは暖かい場所から廊下やトイレといった寒い場所へ移動するだけで起こる可能性があり、なかでも入浴中に起こることが多いと言われています。

なぜ高齢者はヒートショックになりやすいのか

加齢による血管の硬化が高血圧を招き、血管の収縮も弱くなるので急激な温度差に耐えられず、ヒートショックになりやすくなります。
高血圧の方はもちろんのこと、糖尿病や高脂血症などによる動脈硬化の傾向がある方、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈の方は特に注意が必要です。

冬の死亡者数は夏の10倍!入浴中のヒートショックに気をつけて!

令和元年の高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4900人。
特に冬は夏の10倍亡くなる方が多いことから、ヒートショックが関係するケースが多くあると考えられます。

余談ですが、令和元年の高齢者の交通事故死亡者数2508人なので、浴槽内での死亡者数は約2倍。
ヒートショックに気をつけないと行けないことがよくわかります。


消費者庁:「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」より

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf

ヒートショック危険度 チェックシート

5個以上のチェックでヒートショック予備軍と診断!
当てはまる項目が多ければ多いほど、ヒートショックの危険度が高いと考えられます。

結果はどうでしたか?
5個以上当てはまったヒートショック予備軍の方はもちろんのこと
1個でも当てはまった方も油断せず、ヒートショック予防対策をチェックして行きましょう!

ヒートショックを予防するための7つの対策

1 . 入浴前に脱衣所・浴室を温めておく

ヒートショックは急激な温度変化によって起こるので、入浴前に脱衣所や浴室を暖房器具で温めておくようにしましょう。浴室内に暖房器具が無い場合、お湯をためる際に高い位置からシャワーで浴槽に注いだり、浴槽のフタを開けておくと、蒸気で浴室全体が温まります。

2 . お風呂の温度は38~40℃にする

お湯が熱ければ熱いほど温度差が生じるため、湯加減は40度程度にしましょう。また、お風呂の温度が42℃以上だと、入浴の際に心臓に負担がかかることが知られているので、熱すぎないように注意しましょう。

3 . 食後すぐや、医薬品服用後、飲酒後の入浴は避ける

食後すぐや医薬品(睡眠薬など)の服用後、飲酒後は、血圧が下がり意識障害が起こる可能性があります。溺水やショックによる心停止の危険性があるので注意しましょう。

4 . お風呂に入る前に、同居する家族にひと声かける

高齢者が一人になる浴室内は注意が必要です。家族に一言声をかけてから入浴したり、家族等が定期的に声をかけるようにすると、異変が起きても素早く対応できます。

5 . 入浴時には手足からかけ湯

急にお湯に入ると血圧が急上昇するので、心臓から遠い手や足からかけ湯をしてお湯の温度に身体を慣らしましょう。

6 . お湯につかる時間は10分までを目安にする

10分を超える入浴は体温が上がりすぎて、ヒートショックや浴室熱中症、脱水症状を起こす危険があります。10分を目安に入りましょう。

7 . 浴槽から急に立ち上がらない

お湯に浸かっているときは血管が広がって低血圧になっています。急に立ち上がると血管が広がって貧血状態になり、めまいや立ちくらみ、失神を起こす可能性があります。手すりなどにつかまり、ゆっくり立ち上がるようにしましょう。

ヒートショック状態の人への対処法

  1. まずは浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める。
  2. 入浴者を浴槽から出せるようであれば救出して(出せないようであれば、蓋に上半身を乗せるなど沈まないようにする)、直ちに救急車を要請する。
  3. 浴槽から出せた場合は、肩をたたきながら声を掛け、反応があるか確認する。
  4. 反応がない場合は呼吸を確認する。
  5. 呼吸がない場合には胸骨圧迫を開始する。
  6. 人工呼吸ができるようであれば、胸骨圧迫 30 回、人工呼吸2回を繰り返す。できなければ胸骨圧迫のみ続ける。

出典:消費者庁:「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください」より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf

まとめ

・高齢者は血管の硬化による高血圧でヒートショックになりやすい

・ヒートショック対策の基本は「寒暖差を無くすこと」

・浴槽内でヒートショック状態の人を発見したら、すぐにお湯を抜いて救急車を呼ぶ

寒い日に入るお風呂はとても気持ちがいいもの。
ですがそんな幸せな時間も注意しないと、危険な状況に陥ることがあります。
対策を知ることで安全な入浴を心がけ、お風呂時間を安全に楽しみましょう!